伝わるもの

この前、舞を見に行って『百鬼夜行抄』の『逢魔の祭』を想い出しました。

と言ってもそこにのみ伝わる舞ということしか共通点ないんですけどね



<逢魔の祭>*舞に関わるとこだけ簡略に紹介します。

ある田舎で三十年ぶりに「御柱祭」という佐野家に昔から伝わる内々の儀式が執り行われることになりました。
“太刀の乙女”という重要な役どころのなり手が見つからず、東京在住の司ちゃんにおはちがまわってきます。簡単な踊り、のんびりカントリーライフという言葉につられ、律とともに田舎に行きましたが、待ち受けていたのは難しい剣舞でした。
段々形式化して、作法を覚えている人も少なくなってきた祭りですが、代々の当主が一回ずつ収穫祭にあわせて行う厄払いの祭りだったそう。
司ちゃんは当主につきっきりで教わりますが、上手くいきません。
  中略
本番は、司ちゃんと入れ替わって乙女に扮したお祖母ちゃん(先々代の乙女。寝たきりだったのに、不思議な酒を飲んで若返った)が舞います。
それを見ていて、息子である現当主は想い出します。
「・・・そうだ。そうだった。あそこは本当はあの振りが正しいんだ。
おふくろが踊った通りだ」


・・・なにが言いたいかといいますと、そんな風に記憶は薄れていってしまうのだなと
ただでさえ、そうなってしまうのにまして継承者が不足すると余計に。
なり手がなかなかいないのに、厳しくこってりと教えることも難しい
自然、舞手が舞いやすいよう、わかりやすいよう簡略化されてしまいますよね。「やりたくない」って言われたらそれまでですし。この漫画のように、「“太刀の乙女”は十代で長い髪の女の子」と限定されてたりすると・・・。て、だいたい舞は十代の女の子(髪が長いと望ましい)ですよね
そんなわたしも、もし小さい頃やれと言われて選ばれて舞をすることになって、しかも厳しかったら「なんでわたしがやらなきゃいけないの!? やりたくてやってるんじゃないのに、なんで怒られなきゃなんないの もうやりたくないよう(教えてくれてる人には言えない正確だったので、家で親に泣き喚いていたはず)」
となっていたでしょうね。今はものすごくこの価値がわかるので、
「なんて名誉な ほんとにわたしでいいんですかい!? 是非やらせてください」
ぐらい百八十度考えが違いますけれど(笑)もう乙女は難しいですが。


D先生が良くおっしゃる言葉なんだけれど、
「雅楽はどれが正しいかっていうのはないんですよ。その時代によって速く吹いたり遅く吹いたりもあるし。この曲のこの行は折り指を入れないというのも、その時のだしね」
と。
これをそのまま読むと、「じゃあ、好きに吹いていいんじゃん?」となるかも知れませんが、そう意味ではなくて、あー、わたしが上手く聴いた言葉を文字に出来ませーん
明確にどれが正解というのがないということですね。
なにせ相当昔からあるものですし、物じゃないからそのまま残っているのは不可能ですもんね。
個人的には、絶えずに継承されているだけでもすごいんじゃんと思ってしまいますが。
これまたD先生がおっしゃることですが、
「今は譜本が安いので千円で買えちゃうんだもんね。昔(平安とか)は口伝で手書きだし、この五常樂急ごしょうらくの譜を手に入れるだけで大変だったんだよね。先輩や先生に貢物もってたりいろいろして、ようやく譜を写させてもらえるんだから。こんな数行がすごい価値だよねー。まあ、その写している過程で写し間違えたりしてる部分もあるだろうね。今の譜と昔の譜が全く同じかといったら怪しいけど」
て、余談です。

これからは、どうなるんでしょう。
誰でも簡単に映像を残せる時代になりましたから。
多角的に撮影は無理かも知れませんが、ある程度なら記録出来ますからね。
某雅楽会はかならず映像撮ってるらしいですし、大きな雅楽演奏会なんて本格的DVD作成。

例えば、そういうDVDを見てさっと再現出来るか、と言うと難しいかもしれないけれど、頭に入るし、流れはわかるから役に立ちますよね。細かいところは読み取れない(舞いも音も)としても。あるのとないのでは大違いだし!


以上、ちらりと思ったことをつらつら綴ってみました。


『逢魔の森』は、二巻に収録されています。
百鬼夜行抄 (2)

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